不登校というわけではないけど、学校への行渋りが目立つ。
学校に行くようになったけど、毎日じゃないし遅刻や早退がまだまだ多い。
そんな五月雨登校(さみだれとうこう)の子供とは、どう向き合っていったらいいの?
こんにちは、とまとです。
『五月雨登校(さみだれとうこう)』という言葉をご存じですか?
簡単に言うと、登校拒否とまではいかないけど、毎日登校できない状態です。
学校には行けているし、それに不登校から五月雨登校になってくれたら、希望が持てるんじゃない?
確かに、不登校のお子さんの登校回復期にもみられる状態ですが、対応が大変な状態でもあります。
この記事では、
- 五月雨登校のお子さんへの接し方
- 不登校から五月雨登校になった時の対応
- 登校回復期の五月雨登校へのとらえ方
と言った五月雨登校の問題や対応について解説します。
不登校や引きこもりよりも、理解されにくいことが多い五月雨登校ですが、お子さんが不登校にならないために大事な期間です。
また、不登校だったお子さんはしっかり登校できるようになるチャンスです。
この期間にできる事、気を付ける事を知っておきましょう。
五月雨登校とはどんな状態?
まずは、五月雨登校とはどんな状態なのかを紹介します。
不登校や引きこもりとは違うし、ただの怠惰や甘えともとられがちな五月雨登校について、しっかり理解しましょう。
五月雨登校の特徴
全く学校に行かないわけじゃないけど、行き渋りや体の不調などで、週に何回か学校を休む。
または、定時に登校することができなかったり、行っても早退してきてしまう。
完全に家に引きこもってるわけじゃないけど、このまま不登校から比べたら、きちんと登校できているし…
そうですね。それが五月雨登校です。
五月雨登校は、
- 学校に行ける日といけない日がある
- その日の教科によって登校できないことがある
- 一日授業を受けられないことがある(遅刻・早退)
と言ったような、状態が名前の通り五月雨のようにだらだらと長期的に続くことです。
曜日や朝の気持ちで行けたり行けなかったりということで、周囲からは、
『単なる甘え』・『だらけてるだけ』
と思われてしまうことも少なくありません。
親や先生などの大人に理解されにくく、対応に賛否があるため、子供の精神的なストレスはたまりやすくなります。
お子さんにはお子さんなりの事情があって休んでいるのに甘えと判断されたら辛いですよね。
五月雨登校に限らず、学校に行かせないのは甘やかしと周りの方から判断されて悩んでいる親御さんも多いでしょう。
甘えなんじゃないの? とか言われると、そんな気になってしまう方もいるかもしれませんが
こちらの記事では甘えの区別を解説してます。
小学生の不登校はわがまま?甘え・甘やかしすぎを区別し、好き放題な子どもに対処しよう
甘えの定義が分からず『いつの間にか甘やかしすぎていた』なんてことがないようにしっかりチェックしましょう。
五月雨登校の問題点
五月雨登校の問題点は、いくつかありますが、親としてまず思うのは、
『お子さんの気持ちのムラ』に関してでしょう。
今日は行けるかな?早退しないかな?
というのは、五月雨登校のお子さんを持つ親御さんには、ストレスになりますよね。
- 仕事の予定
- 学校への送迎
- お子さんへの接し方
こういったことが、お子さんの気分次第で左右されがちです。
遅刻や早退も少なくないので、親御さんにとっては、『毎日の予定が立てにくい』というのが問題になってきます。
仕事をしていると、職場にも迷惑をかけてしまうわ
一方お子さんも、決して怠けているわけではないのに、学校にいけなくて悩んでいます。
- 時間割を見るとおなかが痛くなる
- 月曜日はどうしても吐き気がする
- 玄関を出ると頭が痛くなる
学校の全部が嫌いなわけではないけれど、『ここだけはどうしても心のバランスをとれない』 ということが、五月雨登校での問題点です。
しかし、五月雨登校の中には、学校に行かないこと、遅刻や早退をすることになれてしまって、
『学校は行っても行かなくても大丈夫』
と思ってしまう子もいるのは事実です。
子供のペースは守ってあげたいけど、それは困るは…
そうですね。本当の怠惰や不登校にならないように、家庭での声かけが、重要だと言えます。
次の章で、五月雨登校のお子さんへの声かけに触れていきます。
行き渋りから、五月雨登校へ
不登校のプロセスは、おおよおそ—
- 行き渋り
- 登校拒否
- 不登校・ひきこもり
- 回復期
- 復活期
と言ったパターンです。
五月雨登校とは、紹介した通り学校に行ったり行かなかったりがだらだら続く登校です。
五月雨登校は、行き渋りや回復期に見られます。
必ずしもマイナスなことだけを指すわけではありません。
『この先生が苦手』『この授業についていけない』など理由は様々ですが、一定のストレスやちょっとしたトラウマが原因で、徐々に学校に行くことが億劫になってしまうことがあります。
それでも完全に不登校になってしまうと決まったわけではありません。
声かけや、家庭での生活環境で、不登校は防げる状態です。
例えば、
- 朝は無理に起こさない
- 翌日の予定を聞かない
- 遅刻早退も特別に思わない
ということがポイントになります。
朝は、『起きて!朝だよ』というより『7時だよ』『7時15分になったよ』など、少し刻みながら声をかけるとよいでしょう。
前日に『明日はどうする?学校いけそう?』などと聞くのはNGです。
お弁当とか学校の準備もあるし、普通に聞いてしまうけどだめなんですか?
それは、親の希望が垣間見れる問いかけになってしまっています。
例えば—
『宿題やったの?』と聞かれるとお子さんは、やりなさいと言われてるように感じてしまい、『今やろうと思ったのに…』とやる気をなくしてしまうということはよくありますよね?
それと同じうように、強要されると感じることで、やる気をなくしてしまうということは、子供にはよくあることです。
行っても行かなくても、準備だけはしていつでも行けるようにしておくという気持ちでいましょう。
あとは、遅刻や早退についてですが、これはもちろんお子さんを責めるのもNG行動ですが、
『行けて偉いね』
『半日頑張れて偉いね』
というふうに、過剰にほめるのも実はNGなのです。
ほめたほうが、いいんじゃないんですか?実際頑張ってるんだし
確かに、ほめて伸びる子ならそれでよいですが、メンタル的にも弱い時に、過剰に対応すると、『学校行っただけなのに』などと普段と違う感情を持ってしまうことも多いのです。
年齢が高くなればなるほど、ちょっとバカにされてるような反抗的な気持ちを持つ子もいるんです。
注意しましましょう。
不登校のお子さんへの声かけって、難しいなぁと感じている親御さん、多いですよね。
子供の心理に寄り添った声がけってどんなの?という疑問にお答えできる記事を紹介します。
声かけは親子のコミュニケーションの基本です。
タイミングやかける言葉で、お子さんとの関係を良くしていきましょう。
不登校の子への声かけの重要性 どんな言葉をかけたらよいのかを解説
不登校からの五月雨登校
不登校からまた学校に行きたいと思うには、様々なご苦労があることでしょう。
五月雨登校から不登校になってしまった場合には、週に一回でも学校に行ってくれたら…なんて思ってしまいます。
この章では、不登校から五月雨登校に、そして回復につながる家庭での過ごし方について解説します。
不登校のお子さんを回復させる五月雨登校
不登校だと、『五月雨登校でも学校に行ってくれたら』と思いますよね。
遅刻・早退でも学校に行きたいというお子さんの気持ちの変化がうれしいものです。
そのためには、やっぱり声かけですか?『行くだけいってみない?』とか?
いえいえ、それは逆効果です。
不登校の間、親子の会話やかかわりは大切ですが、親からの働きかけはお勧めできません。
思い出してください。何故学校に行きたくないのか?どうしてお子さんの気持ちが切れてしまったのか?
親からの声かけは、お子さんにとってのプレッシャーになります。
『親の期待に答えなきゃ』と頑張りすぎたり、『親はわかってくれない』とふさぎ込んでしまいます。
ではどうしたら、よいのでしょうか?
それは、お子さんから『学校に行ってみたい』という意思表示があってからです。
そして、登校にむらがあっても、そのことには触れずにいることで、五月雨登校でも見守ってください。
『行きたいときだけ行くスタンスもあり』という気持ちを持つことで、回復に向かっていくお子さんのサポートがになります。
親は子供のペースを受け入れる。
とても難しいことですが、五月雨登校で世間との壁にぶつかった時、『家族がわかってくれる』というのは,お子さんの自己肯定にもつながります。
五月雨登校は甘やかしすぎてる気がしちゃって心配
そうですね。しかし、無理をさせて復活させることが正解でしょうか?
逆戻りや、前より状況が悪くなるリスクを考えたら、回復期への第一歩は、やはり五月雨登校を見守る必要があります。
五月雨登校でも不登校より大変?!
そうは、行っても不登校の後の五月雨登校は、頑張ってきた親御さんにとっては苦労も多いものです。
五月雨登校って、親にとっては大変なことが多い…
こんなふうに感じてる親御さん多いです。
確かに五月雨登校でも、学校に行けているということはお子さん的にはエネルギーもあるということだし、登校に関しては前向きに考えられます。
でも親御さんサイドから考えると—
- その日の気分で行くか行かないかわからない
- 遅刻も何時から行けるかわからない
- 早退の連絡が来るかもしれないから、家事や仕事に集中できない
というふうに、『予定が立たない』という問題が出てきます。
子供の話も聞いてあげたいけど、こっちもイライラしてしまう…
不登校から五月雨登校になった場合、はじめは回復への希望が持てるので、きもちにもよゆうがあります。
しかし、そこからの五月雨登校は、遅々として進まない状況に『イライラ』や『焦燥感』にも悩まされる過程が多くあります。
五月雨登校と登校回復期
不登校や引きこもりでも、『学校に行きたい』『学校に行ってみたい』とお子さんの気持ちが変わってくるのが登校回復期です。
しかし、回復と言っても五月雨登校が続くことが多いです。
そんな回復期のご家庭での対応について紹介します。
登校回復期とは?
不登校のパターンは先に紹介したように、行き渋りから復活までをたどることが多いです。
もちろん、行き渋りから不登校にならずに済むお子さんもいますし、回復に時間のかかる子もいます。
繰り返しになりますが、今回お話している『五月雨登校』は、行き渋りや登校拒否の時期、そして回復期にもみられます。
学校に行きたいと思っても、いきなり毎日しっかり登校できる子は少ないです。
この『回復期』の五月雨登校は、復活・再登校への大切な期間となります。
お子さんへの対応次第で、逆戻りなんてこともなくはありません。
では、どんなことに気を付ければよいのか?
次で、触れていきましょう。
回復期の五月雨登校で気を付けること
子供が回復してきたら、どんな対応をしたらいいの?
基本的には、こちらの都合を押し付けない声かけや、お子さんのペースを守ることです。
登校しているということは、それなりにお子さんのエネルギーが回復しているということです。
そうなると、
- 毎日行ってほしい
- 遅刻早退も減らしたい
- 早く学校になれてほしい
と言ったように、親御さんの気持ちはついつい先へと焦って駆けだしてしまいます。
しかし、思い出してください。
行き渋りだった時、不登校の時、どんな言葉がNGだったのか?どんな行動がお子さんを追い詰めていたのか?
いくら、回復してきたとはいえ、そこはまだ世間に合わせるしんどさが残っているのです。
お子さんは
- またうまくいかなかったらどうしよう?
- また体調悪くなったらどうしよう?
- お母さんや先生に怒られたらどうしよう?
という不安を抱えながら過ごしていることには変わりまりません。
親御さんがNGワードやNG行動を使ってしまいがちな時期です。
例えば、
『昨日は行けたのに』
『せっかくお弁当用意したのに』
『また行けなくなっちゃたの?』
『今日も頑張ろうよ』
と言った声がけです。
あぁ どれも言いたくなってしまうことばっかり…
特に五月雨登校では、『言われたから、やる気がなくなった』という気持ちになりやすいので、要注意です。
登校回復期は、不登校のお子さんにとって、非常にデリケートな期間です。
こちらの記事には、そんな登校回復期の対応を失敗しないポイントが解説されています。
合わせて読んでいただくと、より『逆戻り』を防ぐことができますよ。
長引く不登校から動き出す時期は?学校に行くきっかけ、不登校回復期に気をつけること
五月雨登校で気を付けなければならないこと
ここまで、五月雨登校について、どういう状態なのか、どう接したらいいのか、などに触れてきました。
この章では、五月雨登校は、決して甘えや怠惰なだけで起きているわけではありませんが、その危険性も含んでいるということもご紹介しておきます。
また、親御さんの悩みを少しでも軽くできる対処法にも触れていきます。
五月雨登校は“学校に行かなくていい”だけではない
ここまで、五月雨登校について、容認する意見ばかり書いてきました。
行っても行かなくてもいいと思うことが大切だと紹介してきましたが、その状態をずっと放っておくのもよくありません。
でも無理に学校に行かせたり、親の都合を押し付けるのはNGなんでしょ?
おっしゃる通りです。
じゃあ、何を言っているんだ?ということになりますよね。
ここでお話しするのは、そこです。
お子さんを見守ったり、味方になってあげるのは、大切なことだし親の役目です。
だから五月雨登校も見守ってサポートして、お子さんの心のエネルギーをためてあげるようなお話をしてきました。
しかし、社会に出た時に『やりたいことはやらなくてよい』『行きたくないところはいかなくてよい』というわけにはいかないことも事実です。
五月雨登校をしているお子さんの多くは、
『学校は行っても行かなくてもいい場所』
『遅刻や早退も当たり前のこと』
という認識が大きくなってしまいます。
最近では、学校側も無理に登校しなくてよいという流れがあるので、不登校の子も五月雨登校などがしやすい環境ではあります。
ですので五月雨登校でも、放っておきすぎると本当に怠けてしまって、引きこもりになってしまうことも考えられます。
学校に行くエネルギーがあるなら、そのプラスの部分をサポートできるようにすることが大切です。
学校に行かないと
- 勉強の遅れが出てしまう
- 家族以外の人間との交流がなくなる
- ルールや集団生活を学べない
と言ったデメリットが生じます。
それは、不登校から回復するときにお子さんがぶつかる壁でもあります。
五月雨登校で、その壁にぶつかって自己否定をしてしまうお子さんに、行かなくてはいいよ、では逆戻りです。
そこで、ここが重要です。
親御さんができるのは
- お子さんの気持ちを受け入れてあげる
- 欠点を長所ととらえる
- 得意なところから再トライしてみる
ということです。
お子さんの心が動き出したら、親御さんはお子さんの自己否定を自己容認に変えてあげる事。
『あなたにはこんなことができる』
『あなたにはこんないいところがある』
『それって、逆にチャンスじゃない?』
と言ったように、お子さんの全部を肯定してあげるくらいの気持ちで構えていくことです。
もう一度言いますが、こういった声かけは、お子さんが動き出してからです。
五月雨登校のルールを作ろう
行き渋りや、五月雨登校のほとんどは、『この日(授業)は行きたくない』『朝は苦手』『何時間目に具合悪くなる』などという明確な理由があることがあります。
そこで、あまり長く続くようなら、親子である程度の決まりを作るとよいでしょう。
- ルール作りは復活期お子さんが動き出してから!
- お子さんの気持ちを最優先に!
- ルールを守れなくても責めたりしない!
- 何ができて何ができないのかを確認しよう!
このようなことに注意して、五月雨登校にもある程度の『決まり』を作ると、お子さんにも親御さんにも目標ができて、過ごしやすくなるでしょう。
どんなふうに、ルールを作ればいいの?
そうですね。本当に基本的なことでよいです。
例えば—
- テストの前は登校する
- 保健室や別室登校もOK
- この授業は受けると決める
- 遅刻早退は週に何回まで
あくまで目安ですが、ルールがあるというのは、社会復帰の第一歩です。
学校側ともしっかり連携をとって、お子さんの負担を減らし、学校に行こうと思える環境を作りましょう。
何度も言いますが、お子さんの気持ちが動き出してから、そのサポートとしてルールを作りましょう。
五月雨登校とは?登校回復期の五月雨登校は不登校から抜け出すチャンス まとめ
今回は五月雨登校について解説してきました。
引きこもりや登校拒否と違って、五月雨登校は学校に全くいけないわけではありません。
お子さんの気持ちにも少し余裕がある状態であることも多いです。
この記事のまとめ
- 五月雨登校とは、学校に行ったり行けなかったりする状態
- 行き渋りや登校回復期に現れることが多い
- 不登校からの回復期の五月雨登校は対応が難しいので注意
- 五月雨登校は、甘えや怠惰につながりやすいので気を付ける
登校回復期のように不登校からの五月雨登校は、親御さんが焦ってしまうとまた逆戻りになったり、親の顔色を窺うようになったりしてしまうので、注意が必要です。
しかし、この記事で紹介したことを参考に対応することで、五月雨登校はお子さんと学校をつなぐ足掛かりになります。
特に五月雨登校では、やっぱり駄目だった…と思うお子さんも少なくありません。
お子さんが傷ついたらお子さんの気持ちをしっかり受け入れていきましょう。
そして、『できない』よりも『できること』に目を向けさせてあげましょう。
それが五月雨登校を抜け出すポイントになります。
最後までご覧いただいて、ありがとうございます。
こちらもどうぞ。